そろそろ本気で終わりが見えてきたので少しでも繋がりを大切にしようと願う性騎士のブログです!
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皆さんは、この世界に生を受け、どんな風景を見てきたでしょうか?

目が覚めて、部屋に朝日が入っている風景を見る?

玄関を開けたときにピーカンに降り注ぐ日の光を見る?

友達の顔を見る?

綺麗に雪化粧した山々を見る?

もし、この世に「色」という概念が無かったら、

どんな風に生きていくのでしょうか。

それは視覚の問題であって、そんなに大差ない生活を送るのかな?

でも待って。あなたが見ている色は本当に普通の色なの?

普通の色って何?

太陽光と、細胞・組織・染色体の問題?

何をもって普通の色を探せばいいのでしょうか。

やっぱり気分次第・・・かな?



~カトン~

最近、カーテン越しに入ってくる日の光がうざいと感じる。

ベッドの位置を変えなきゃと思っても、面倒臭いし、親に頼むのも面倒だ。

部屋に入られたくないし。

カトンは起きるなり部屋を見渡して深い溜息をついた。

何も変わらない一日がまた始まったのだ。

「かとん!ご飯よ!!!」

変わらない家族の声。

ドタドタとうるさく階段を下りていく弟の足音。

しばらくしてカトンは立ち上がりドアノブに手をかけた。

つもりだったがドアノブが見つからない。

引き戸だった。


いや、引き戸でもない。

扉がない?

ちょっと怖くなったが考えるのも面倒くさい。

するとドアが開かれた。

母親があけてくれた・・・らしい。

「いつまでボーっとしてんの!遅刻するわよ!!」

返事をするのも面倒くさい。

背を向ける。

カーテン越しに差して来た光が無い。

「まったくもう・・・」

母親が下の階へ向かう。

そういえば腹減ったな・・・

昨日の・・・あれ・・・いつから飯食ってないんだっけ?

思い出すのも面倒くさい。

なんでこんな生活してるんだ、俺。

でもとりあえず高校くらいは出とくか。

とりあえずって何だ。

あーもー面倒くさい。

・・・・・・

まずは着替えるか。

制服はどこだろう?

俺の部屋にあるはずなんだけど・・・

ん。俺の机はどこだ?

そもそも机なんかあったっけ?

んん?さっきまで寝ていたベッドはどこだ?



カトンの視界には灰色一色の世界が広がっている。

全てが灰色で物と物の境界が分からない。

漫画のように線で区切られていれば判別出来るが

現実にそんな線は無い。

いつから灰色になったのか、カトンも分からない。



確かこのあたりに制服が、あ、まずはシャツか。

ズボンは・・・

まぁ適当でいいか。


体の感覚で着替え、感覚で1階へ降りていく。

いい匂いがする。卵焼きかな?

何かが視界の中で動いている。

あれが母親で、あの小さいのが弟か。

親父はまだ寝てるのかな。

灰色の家族の動きからダイニングテーブルの位置を把握し

自分の席に着く。

目の前にはいい匂いの卵焼きのような灰色の物。

色々テーブルの上に置いてあるのだろうが、

よくわからない。

何、と分かったところで特に何も感じない。

灰色の物を見ても食べたいと思わない。

でも卵焼きは好物だ。腹も減ったし、箸を手探りで探し

物に箸を伸ばすと、肘で液体の入ったコップを倒したらしい。

右足の指が冷たい。

母親のうるさい声が聞こえる。

弟もカトンを囃し立てる。

なんだか食事なんてどうでもよくなった。

席を立つと玄関のあった灰色の方向に歩き出す。

母親がまだ何か言っている。

玄関の段差で転んだ。

靴箱に体をぶつけて木が割れるような音がした。

見てみると灰色が広がっているだけ。

感覚で玄関の鍵を開け、ノブに手をかける。

玄関を開けると、奥行きのある灰色の世界が広がっている。

今日も変わらない世界だ。

日差しがない。

靴を履いてないが、そんなに慌てる事もないか。

母親がまだ何か言っている。

車の音が聞こえる。

道路の位置は分かっているし歩道もある。

今日も快晴。灰色だ。

まぁ、学校へ行こう。


家から学校までは近い。

大体500歩くらいだ。

灰色の世界を裸足で歩いていく。

信号の場所も覚えている。

なんとなく光のコントラストで赤信号かどうかも分かる。

はて。

赤ってどんな色だろう。

考えるのも面倒くさい。

自転車や車がカトンを追い越していく。


学校が近づいてきた。

どっかの部活が朝練をやっていて、叫ぶ声が聞こえてくる。

音からするとサッカー部か。

野球部の金属バットでボールを打つ音も聞こえる。

朝から大変だなぁ。こいつら。


正門へ着くと、パタっとカトンの歩みが止まった。

灰色一色の世界なのに、人の形の白い物があった。

人か?

髪が風で靡いている。女子か?

なんで白いんだ。

色は白で合ってるのか?

カトンは棒立ちになった。

この何も変わらない灰色の日々の中に白い女子が出てきた。

いや、まず人なのか?

白い物がカトンの方へ近づいてくる。

歩いているようだ。

白い物が言った。

「おはよう」

瞬間、カトンの前方から物凄い風が吹いてきた。

思わず屈んでしまった。

綺麗な声だった。

目を閉じても灰色のまま―――

だったはずのなにうっすらと明るい色が入ってくる。

ん、おかしい。

目を開けると白い世界に変わっていた。

恐ろしく世界が広く感じられる。

でも決して悪い色では無い。

さっきの白い物体は???

とても綺麗な声だった。

見渡してもどこにも白い人?が見えない。

当然だ。白い人だったんだから。

しかしいきなり白い世界になられても困る。

上も下もよく分からないし、本当に奥行きが無限大に感じられる。

思わず手を伸ばしヨタヨタ歩いた。

「どうしたの?」

声がする。

白い物体からちょっと離れてしまったようだ。

「あ、そこ危ない!!」

そう言われた瞬間、右足が何かを踏みつけた。

やわらかい感触。グニャっと何かを踏みつけた。

「あはははは。」

その瞬間、カトンの視界が色を取り戻した。


やっぱりウンコだった。

犬のか?出来立てホヤホヤで素足にはちょっときつかった。

思わず「ヒー」と叫んだ。

瞬間、その白い物体だった女子を見た。

小さな足、細い足、胸がでかい、くびれがない。

綺麗に整った顔立ちの女子だった。

カトンの心にライトニンが走った。

もう惚れていた。一目ぼれというヤツだろうか。

「大丈夫?」

笑いながら声をかけてくれるこの女子。

「ねえ、なんで私服なの?それに裸足で。」

はっと自分を見ると、ズボンは制服の灰色のスラックスだがジャケットは

赤と白のチェックのオシャレシャツだった。

白いYシャツのはずが真っ黒なチョイ悪オヤジの着てそうなシャツ。

「ヒー」

と奇妙な奇声を上げると、女子と目が合った。

不思議で心地良い間が合って今度は二人で笑った。

すると、チャイムが鳴った。

「あ、私いかないと!またね!」

「・・・また・・・」

女子は校舎へ向かって走っていった。

しばらく後姿を見送っていたが、ふと足元を見ると

ありがちだが、ハンカチを落としていったようだ。

【ひもぷり】と名前が書いてある。

ひもぷりっていうんだ、あの子・・・・

犬の糞は踏んづけたままだったが、そんな事に気が向かなかった。

それに素足で寒かったし、なま暖かいこの感じ、悪くない。



しばらくして、カトンはこう言った。

「ヒー」




ともあれ、カトンは色を取り戻した。

青い空、白く映える校舎、木々の緑、コンクリートの灰色。

なんだか、全てがまぶしく見える。

「綺麗だなぁ。」

思わずそんな事を言ってしまった。

綺麗・・・

空を見上げてさっきの女子を思い描いていた。

ところどころにある雲がその女子の顔に見えてきた。

「フフフ・・・」

あやしい薄ら笑いを浮かべるカトン。

まだ犬の糞を踏みつけていた。


気が付けば、登校する生徒の波がやってきた。

時計に目をやると8時10分だった。

ホームルームは8時30分から・・・

急いで着替えに戻ることにした。


久しぶりに走った。

風を切る音がなつかしい。とても心地いい。

スポーツ刈りで正解だった。


家に着くと玄関を開けてはっとした。

靴箱が割れている。

これはさっき転んだ時のやつかな・・・

「何してんのよ!」

母親に見つかった。

「着替えるんだよ!」

急いで自分の部屋に入ると、懐かしい感じがした。昔、

親に買ってもらった車のオモチャや、小学生の時に作った工作物が

やけに懐かしい。

急いで着替えると大変に事に気がついた。

茶色い染みだらけなのだ。

「ぐはああ!」

アレを踏んでいたのを忘れていた。

「さすがは出来立て、新鮮な匂いだぜ!」

急いで風呂場へ向かった。

8時22分。

まだ時間はある。1限には間に合うはず!

久々に色の付いた家を見ていて感動はするが、今は時間がない。

念入りにアレを洗い落としたカトンは靴下を履き玄関へ向かった。

母親が床を拭いている。

「すまねぇかあちゃん!」

今まではどうでもいいと思っていた授業だが、今は早く授業に

出たい、学校にいきたい、友達に会いたい。

ひもぷりに会いたい。会ってハンカチを渡したい。

色の付いた世界がとてもまぶしい。

その世界の中でカトンは高校生として、やるべき事を、

やれる事をやりたいと思った。

灰色時代はきっと今日のようにとんでもない格好で、裸足で、

学校へ行っていた。

異常者じゃないか。

適当に生きてると周りに迷惑をかけるだけだ。

それじゃあダメだ!!

さらに早く風を切り学校へ向かう。

校庭の時計は8時35分を指している。

ホームルームは間に合わなかったが1限には間に合うぞ。

教室へ付きドアを開けると、全員がこっちを見ている。

唖然としてカトンを見ている。

懐かしい友達の顔。担任の顔。担任の隣に・・・

ひもぷりがいた。

「何を遅れて来てボサっと突っ立てるんだ!席に着くんだ!」

担任のイモキンが口を尖らせる。

そそくさと席に着いた。

窓際の一番後ろ・・・から2番目。

中々、いい席だった。

またイモキンの声が聞こえる。

「じゃ改めて、今日からこのクラスで一緒に勉強するひもぷりさんだ。

 みんな、仲良くするんだ!じゃ、ひもぷりさん、挨拶するんだ!」

そう言われてひもぷりが一歩前に出た。

「イダー高校から来ましたひもぷりです。趣味は新しいお茶漬けの
 
 開発です。宜しくお願いします。」

クラス全員がどっと笑った。

「それじゃあひもぷりさんの席は、あの遅刻野郎の後ろだ!
 
 さっさと席に着くんだ!」

そうイモキンに言われたひもぷりはカトンの横を通り、席に着いた。

なんというめぐり合わせか。

カトンは緊張していた。

―やっぱこれ運命かな・・
―めっちゃかわいい・・・
―いい匂いだ・・・
―屁はできねーな・・・
―さっきのウ○コの匂い大丈夫かな・・・
―早くハンカチを渡さないと・・・

その後イモキンは何か言っていたが耳には入ってなかった。

イモキンが教室を出て行く。

とたんに、クラスの大多数がひもぷりの周りに集まってきた。

「ひもぷりさん宜しくね!!」
「イダーのどこに住んでたの!?」
「部活はどこに入るの!?」
「パンツの色は!?」
「お茶漬けって何!?」
「イモキンなんかむかつくでしょ!?」

なんだか可愛そうだが、これも転校生の宿命か。

居心地が悪く、トイレに行くことにした。

ハンカチはいつでも渡せるし、いいや。

トイレではテルミヌやシソ神がタバコを吸っていた。

こいつら朝からなんてやつだ。

と、いいつつ用を済ませると鏡を見て、はっとした。

俺ってこんな顔だったのか。

イイじゃないか・・・

時間を忘れて鏡に向き合うカトン。

自分の笑顔、クールな感じ、横顔を見ていた。

よし、1限終わったら話しかけよう。

教室へ戻るとチャイムがなった。

まだひもぷりの周りにクラスメイト達が群がっている。

すると、中央、一番前の席のボグレが一喝した。

「もう授業始まるぞ!みんな席に着くんだ!!」

ボグレはこのクラスの学級長で生徒会にも1年から属している。

ちょっと知性派な感じだが、とても話しやすいヤツだ。

いわゆるオールラウンドタイプだ。

そのボグレの一声で皆、自分の席に戻った。

ちらっとひもぷりを見ると、どこかに手を振っている。

もう友達が出来たのだろうか。

カトンも席に着くと同時に国語のラッシュ先生が入ってきた。

ラッシュ先生は教科書を殆ど使わない。

いつも何かの本の一部をコピーし、それを配り、漢字や文法を

教えてくれる変わった先生である。それでいて、学ぶポイントが教科書と

リンクしており、いつも驚かされる。

今日のコピーは、日本の四季についてだった。

今までは灰色だったのでさっぱりだったが、

久しぶりに色の付いたコピーを見て灰色になる前と変わっておらず感動した。

しかし、今はそれどころではないのだ。

ひもぷりに何て声をかけようか、屁はしないだろうか、

腹は鳴らないだろうか、ハンカチをいつ渡そうか、

など、ぼけーっと考えてしまった。

窓越しに青い空を見つめる。

やっぱ空って綺麗だよなぁ・・・

ふと、窓に反射で見える前の席の冬時雨の横顔が見えた。

!!

これは、俺もひもぷりに見られているのではないか!!!?

とっさにさっき練習した笑顔を作った。

いや、いかん。授業中だ。クールだ!

すぐさま顔を引き締めた。

これからのスクールライフはバラ色になりそうだ・・・

一生懸命生きて、勉強して、ひもぷりと一緒に登下校・・・

思わず顔がにやけてくる・・・

色の付いたこの素晴らしい世界。

がんばらなくては!!!



その時、背中をシャーペンか何かで突かれる感触がした。

これまたさっき練習した横顔を見せると

小さな声でひもぷりがささやく。

「着替えてきたんだ。足大丈夫だった??大変だったねえ」

カトンは無言でうなずく。

「席も近いし、これからは宜しくね!」




カトンの視界はピンクになった。


「ひもぷりって呼んでいいからね―


もっとピンクになった。


ふと見ると、ひもぷりの左の薬指には指輪があった。


「君はウンチ君でいいのかな?」





カトンの視界は灰色を取り戻した―――
コメント
この記事へのコメント
途中からボケ倒しじゃないか!
ニヤニヤがとまらん!

ありがとう。
2010/02/09(火) 01:34 | URL | かつん #19c7Dxu2[ 編集]
>かつん

ボケ倒しでごめん!
なんの相談も無しにごめん!
でもイメージではカトンが一番よかったの!
ごめん!
でもありがとう!!!
2010/02/09(火) 02:04 | URL | まる #-[ 編集]
おもしろかったよw

おもしろかったけどね!

一箇所まちがってたけどね!

お陰で、人の心を素通りする一陣の光であり続ける決心をしたよ。
もう、揺ぎ無き決意なんだからね!

芋金先生め。
ひもぴりめ。
かつんめ。

人として登場してからに!

おつかレーション!
2010/02/09(火) 02:42 | URL | ライトニン #-[ 編集]
おもろ!!!
ケラケラケラ┌(。Д。)┐
2010/02/09(火) 11:29 | URL | がっちゃん #-[ 編集]
>ライチョニン

お陰でってww
人の心を素通りするっていってもねぇ。。
あなたの光は人の食道に引っかかって飲み込まれずに、色々な人に覗かれて、微笑まれる。
そんな魚の骨のような光なのよ!
愛されてるわ!!!

>がちゃん

おもろ、、いのかなw
もう恥ずかしくなって耳たぶが赤いわ!
2010/02/09(火) 13:51 | URL | まる #-[ 編集]
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