そろそろ本気で終わりが見えてきたので少しでも繋がりを大切にしようと願う性騎士のブログです!
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カンウ親子の死によって、やがてリュウビは床に伏せた。

江南ではハンショウが、捕らえた褒美としてカンウの青龍円月の薙刀が与えられた。

シュゼンにも赤ト馬が与えられたが、カンウの死以降、秣を食わずに後を追うように死んでしまった。

また、ソウソウ軍でも大きな事件が起こった。

カンウの首だけを埋葬するのも失礼かと、ソウソウは許昌付近の御神木の木を削り、体を作ったのだが

その木の香り、色が素晴らしく、建設予定のソウソウの行宮所の棟木にすると決めた。

ところが、大工が血相を変えて飛んで帰って来た。

「大王様、御神木に斧が通りません!」

「そんなバカな事があるか!」

と、ソウソウがその木の元に行くと一人の老人が御神木の前に立っていた。

「この木は100年以上もこの地にあり、精霊が宿ると言われています。先日のカンウ様の体に使うと

言ってこの木を削った者もいましたが、それ以降、精霊は怒り鉄の如くなっています。前回削った者は

亡くなりました。どうか、これを伐ろう等として大王の身に恐れがあってはいけません。お考え直しを」

「何を戯けた事をぬかすか!」

そう言うと老人を突き飛ばし、ソウソウは剣を抜き様に斬り付けた。さすがにソウソウの持つ名剣なので傷は付いた。

だが金属音が響き、木の切れ目からは人の血が噴出している。

「なんだ!面妖な!!」

そう言ってもう一度斬り付けると深くまで刺さったが、大量の血が噴出し側近や老人達まで真っ赤に染めた。

さすがにこれには耐えられずソウソウは剣を置いたまま逃げてきた。

その晩からソウソウ持病の頭痛が酷くなり、薬をも飲めない程であった。

そこに名医:カダを呼ぶと、

「これは脳に腫れ物があり、直す為には骨を削り刀で腫れ物を取り除く必要があります」

「何だと!ワシの頭を切り裂くというのか!」

「はい、これ以外に治療法はございません。放って置けば、今のまま、でございます」

「死ぬかもしれんな・・・」

「五分五分でございます」

「考える・・・時間をくれ」


ソウソウを文字通り頭を抱えた。

いずれ来るだろう強敵は、江南でもリュウビでも無く、持病の頭痛だった。

そんな時、リュウビがソウソウを論じた事もある、持ち前の猜疑心が頭を駆け巡る。

「あのカダという医者はカンウの腕を治した事があるという。もしカダがリュウビに取り入っていれば・・・」

さらに夜、ソウソウは寝室で暴れていた。

御神木の前にいた老人が壁を通り抜けソウソウの部屋に入ってきたのである。しかも手にはソウソウの捨ててきた剣を

持っている。

ソウソウは大声で助けを呼ぶか、誰一人として来ない。逃げ回っていたが、やがて肩から袈裟切りに斬られてしまい、

それに放った自分の叫び声で目が覚めた。して夢かと、ほっとすると同時に、目の前にソウソウの剣が置いてあり、

ソウソウの寝巻きだけが袈裟切りに切れていた。

すると、今度は今までにソウソウが殺してきた者達がソウソウを取り囲んでいた。

「首を返してくれ」

「体を寄越せ」

ソウソウは剣を手に取り、邪念だ!と切りつけるが空を切るばかりで、斬れるのは寝室の柱だけであった。

それにより天井が落ち掛かり、掛け付けた側近に支えられてソウソウは幻覚から醒めた。

以降、ソウソウは急激に衰えを見せ、子供達25人を呼び、跡継ぎは長男のソウヒとすると事切れた。

一校尉から身を上げ、奇計によって身を上げ、背く物には容赦なく、民には仏の如く当たり、

生死の淵を何度となく歩いて来たソウソウはここに沈んだ。66歳であった。


長男のソウヒを跡継ぎにする事は誰にも異存は無く、それにより体制は大きく変わった。

ソウヒの守役であったカキンが丞相の位に付いた。そのカキンが、ソウヒに帝の位に付けという。

さすがのソウソウも帝になる事は考えなかった。元が漢朝の臣であった為、そんな事は考えすらしなかった。

だがソウヒは違う。子供の頃からソウソウに諂う帝を見ており、漢朝にはなんの愛着も信念も無かった。

これを受け入れ、帝の愛娘二人を無理矢理にソウヒの妻とし、帝を地面に平伏させ、帝の背を踏んで座に着いた。

そして国号を魏と定めた。

ただ、これを老将カクが見るに耐えず、カキンとソウヒを叱咤したが、効果も無かった。

挙句の果てに、帝を外に放り投げた。それを見たカクはとうとう声を荒げた。

「なんという浅慮だ!帝がそのままリュウビを頼って行ったらどうする!リュウビが檄を飛ばし、我等はただの

簒奪族になるぞ!江南にも、この魏にも漢朝の忠臣も大勢いるのだ!それらが一同に手を組めば魏など一握りだぞ!」

「それは・・・じゃあどうすれば良いのだ?」

「もうここまでやってしまっては仕方が無い。せめてリュウビもソンケンも簡単には伺えぬ遥か北東の地、北平にでも

やり、余生を全うさせてやるのだ」

ソウヒはこれを受け入れ、元・帝(リュウキョウ【劉協】)を北平に住まわせた。


だが、これはリュウビには正確に伝わらなかった。

「ソウヒ・サンシイス」(ソウヒが帝を殺し、帝位に付く)

「何たる事か!」

カンウの死後、寝込んでいたリュウビは力強く起き上がった。

コウメイは、それを見て安心し、病人のようなリュウビの国を立て直すために、また漢朝の劉族を絶やさぬ為に

リュウビに帝位に付く事を提案したのだった。

リュウビは断固拒否したが諸将の強い勧めと、コウメイが力強く押したので、リュウビはこれを認め、国号を蜀とした。

これにより、蜀では大変なお祭り騒ぎとなった。


だが、その式典の最中もリュウビにはカンウの死を忘れる事も出来ず、チョウヒも同じだった。

その式典を遠くから見ている若者が二人。

チョウホウ(チョウヒの長男)とカンコウ(カンウの次男)であった。

二人とも20歳となり、元服も済ませ、将として認められた。

昔から二人とも大きかったが、それは留まる事を知らず、立派な将軍となっていた。

二人で武芸・勉強・兵法さらには恋路まで争い、互いに最大の宿敵であり友であった。

式典を見ながらチョウホウが嘆いた。

「いや、コウメイ先生には驚かされるな。死人のようだった蜀を生き返らせた」

「あぁ。これで元気になってくれれば良いが」

「ただ、あんまり浮かれておれん」

「どうしたのだ」

「さっき親父の所に行ってきたのだが、この式の最中だと言うのに酒を飲み続けている。しかも周りも止めようとしない。

むしろリュウビの叔父上に至っては、それを虚ろな表情で見ている・・・。大体、叔父上はやれ、キュウさんが死んだ。

カンウが死んだ。帝が死んだ、と食うものも食わん。・・・やはり特に、お前の親父が忘れられんのだろう」

「それは、俺が仇を討つと言ってやったのに・・・」

「いや、義兄弟の契りというのは、俺たち親子の繋がりよりも長いのだ。30年だ。30年」

「むう・・・。だが、今やお前の親父も大将軍で、リュウビ叔父上に当たっては帝だぞ?それを・・・

一国の帝と大将軍が私怨で兵を動かすというのか?」

「そんな事があって溜まるか!だが・・・この先の蜀はどうなってしまうのか・・・」

「わからん・・・」

「またおまえは分からんか!」

「分からんもんは分からん・・・が、大丈夫だ!コウメイ先生がそんな事を許す筈がない。お前らしくないぞ」

「そうだといいのだが・・・」


チョウホウはチョウヒに似て大胆に、豪胆に育っており、得物も同じ鉄の矛を使っていた。

そんなチョウホウが不安になる程の、蜀の帝と大将軍の振る舞いであった。


式も終わり、リュウビが部屋にいると、チョウヒが入ってきた。

「やあ、陛下!」

「ぶっ。その陛下はやめてくれ。お前に言われると可笑しくて可笑しくて」

「そうだな!やっぱ兄者は兄者だ、どこまで上ったって兄者だ」

「どうしたのだ?」

「兄者、江南をこのままにしておくのか?俺は難しい事は分からんが、江南を攻撃するなと水が言っていた。

あいつは水か?水どころか氷だ!情なんて持ってないんだきっと!」

「いや、コウメイ殿の情は深い。ただ、それに押し流されぬだけだ」

そう言うとリュウビは立ち上がって話を続けた。

「また、帝が殺され、その帝位を守るべくこうして私は国を挙げたのだ。この意味が分かるな?私の立場は

いよいよ持って重くなったのだ、軽々と兵を出す事など出来ぬのだ・・・」

「それじゃあよう・・・」

「だがヨクトクよ!私はあえてコウメイ殿の意思に背こうと思う」

「なんだと!!本当か!」

「あぁ。お主とウンチョウと3人で必死に駆けてきたこの30数年は私の中ではもはや色褪せぬ。決意は決まったのだ」

「兄者ー!」

「そこで、兵なのだが、当然コウメイ殿にはお願い出来ん。で、私の手兵2万とお主の手兵1万。これは我侭も許されよう。

だが、3万だけでは江南には到底及ばぬ。10万は欲しい。そこで私は南にある南蛮のシャマカ殿とよしみと通じて5万の

合力を約束してもらった。勝ち取った江南の領土はそのまま譲るという条件付きでな」

「おお、裸足で戦場を駆ける勇猛な族と聞く。頼もしい限りだ」

「あとの2万は義兵を当てるが、これも既に集まっている」

「おおお!」

「ヨクトクよ、近いうちに様子を見て出陣する。カンウ親子の弔い合戦なのでカンコウを初陣させ、コウチュウ殿にも来て貰う」

「俺もチョウホウを出させるぞ。いや腕が鳴るぜ」

「ただ、心配なのはお前の酒だ・・・。最近は飲んでばかりだとキョウテイ殿も嘆いていたぞ」

「何、そうと分かれば自棄酒も無いわい!いつでも出陣出来る様に用意しておくぞ!それじゃな!兄者!」

そう言うとチョウヒは出て行った。リュウビの決意は固かった。

此度の戦は完全にリュウビの我侭である。だが、やるからには勝たねばとリュウビが地図を広げ戦術を巡らせていた。


その翌日。

チョウヒは部下のハンキョウ・チョウタツに白装束の用意を命じた。3日間の内に1万着という命令だった。

だが、すぐに2人は帰ってきてチョウヒに言った。

「このフ城は元より、近隣の町村にまで走りましたが、とても3日の内に1万着等揃えられそうにありません!」

「なんだと!!!こうしている内に兄者から出陣の連絡が来るかも知れんのだぞ!!!!」

「ですが、どうやっても・・・」

「黙れ!!」

そう言うとチョウヒは二人を殴り飛ばした。

「いいか!残り3日で1万着は絶対だ!!もし、揃わぬ等と申してみよ!その首を切り落とし出陣の生贄とするぞ!」

「ははー!」

とハンキョウ・チョウタツ両名は平伏したが、その殴られた顔の瞳には死から免れたい、という思いが詰まっていた。


その夜もリュウビは地図を広げて作戦を考えていたが、急遽、コウメイが部屋に入って来た。

リュウビは慌てて隠したが、見ぬフリをしてコウメイは話し出した。

「突然すみません、ですが伝えたい事がございまして」

「どうされたかな」

「はい、実は許昌へ放っていた間者から思わぬ情報が入ってきました」

「ん」

「劉協殿は生きておられます」

「なんと!!」

「場所までは分からぬと言っていましたが、老将カク殿の思い入れにより、殺害を避けたとの情報です。今もまだ、どこかで

暮らしているのでしょう。もしかすると、蜀を、リュウビゲントクを頼ってこちらに向かっているかもしれません。明日にでも

来るかもしれません・・・しばらくは外出を避けて下さい」

「なんと・・・」

「また、ソウヒが帝位に付く際、劉協殿を殴り飛ばし、地面に平伏させ、その背を踏みつけて座したと言います」

「何てことを!!!!」

「討つべきはソウヒです!これを聞いてソンケンも怒っている事でしょう。それだけではありません!全国から漢朝の忠臣が

立ち上がろうとしています!それをまとめられるのは陛下を置いて他にありません!!!」

「そうであったな・・・。許さんぞソウヒめ・・・!」

コウメイはこのリュウビの様子を見て安堵した。


だが、この後、事態は大逆転を迎えた。


「叔父上!叔父上!」

そう言って急に入って来たのはチョウホウであった。二人が唖然とする中で息を整えると

「父上が殺されました!」

「何だと!!!!!」

それを聞くやリュウビは力無く、机に寄り掛かった。

「昨日、出陣の為に白装束を部下のハンキョウ・チョウタツに用意させようとしましたが、これを二人が怠り、

それを叱咤し、殴り飛ばし、3日で用意出来なければ首を刎ねると言い付けたようです。これに焦りを感じた

両名は、衛兵には用があると伝え父上の寝室へ入り、寝ている首を斬り、首だけを持ち去ったようにございます」

「ど、どこへ行ったのだ・・・・」

「衛兵が言うには東の門より、川に入り船で向かったそうです。先には江南しかありません」

それを聞くとリュウビは力強く床を殴りつけた。


コウメイはチョウホウに母(キョウテイ)には首が無かった事は黙り、壮絶な謀反に合ったと伝えるように指示した。

リュウビは滂沱と涙を流し続けた。

コウメイはずっとその様子を見ていた。


やがて涙も枯れると、そこにいたコウメイに驚いたが、静かな声で言った。

「コウメイ殿・・・もうお止めくださるな・・・」

「・・・」

「カンウを死に追いやったハンショウ・シュゼン・ソンケン。さらに今のチョウヒの死の元凶ハンキョウ・チョウタツ。

もはやこ奴らのいる世界で等生きてはおれぬ!」

「・・・」

「もう止めないでくれ・・・」

と言われたがコウメイは静かに答えた。

「この蜀の丞相としては、多大な軍費を認める訳にはいきません」

「・・・」

「軍師としては江南に剣を向ける事には反対致します」

「・・・」

「ですが、このコウメイ。3兄弟の皆と触合い心癒され、4番目の兄弟のつもりでおりました」

「では!コウメイ殿!」

「ですが陛下!!!陛下がチョウウン殿と二人で私の屋敷に来た時の王道の志はどうされるのです!!!」

リュウビには答えられなかった。

今、義と情と道の間に挟まれている。

それでもリュウビは口を開いた。

「ですが、コウメイ殿。我が師ロショク先生は、情なくしていかに道が立つかと言ってくれた」

「・・・」

「それに、死にに行くわけでは無い。劉協殿の事も気になる。このまま私が終わって良いとは思っていません。

心行くまで暴れ、必ず、この成都に帰ってきます。必ずです!」

その言葉には今までに無い力が込められており、コウメイは溜息を付いた。

「では・・・出陣の10万ですが・・」

「し、知っておったのか」

「陛下と大将軍の手兵3万、これは良いでしょう。シャマカ殿の5万、これはあくまで別働隊です。残りの義兵ですが

これは私が預かり、代わりに陛下への忠誠心の厚い精鋭2万を付けましょう。また、チョウウン殿に糧秣担当をさせます。

これが今の蜀で出せる精一杯です」

「コウメイ殿!!!」

「陛下も還暦を迎えました。決してご無理をなさいません様に・・・」


やはり、コウメイも情の人間であった。

蜀内ではこの出陣をいぶかしんだが、賛成する者も多く、士気は高かった。


先方はチョウヒの副将であるゴハンが代わり、リュウビの左右にはカンコウ・チョウホウが並び、その後ろには

コウチュウがいた。さらにその奥にはチョウウンが精鋭を持って江南に向け、進みだした。


夏に入る前の晴れた日であった。
コメント
この記事へのコメント
なげーーーーーーーーーーーーー

2011/04/26(火) 10:21 | URL | Takaru #-[ 編集]
>たかるんw

だろーーーーーーーー!
2011/04/26(火) 17:25 | URL | まる #-[ 編集]
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