そろそろ本気で終わりが見えてきたので少しでも繋がりを大切にしようと願う性騎士のブログです!
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赤壁の戦いも終わり、諸国が落ち着いた頃、

襄陽のリュウビ軍は慌しかった。

隙を突いての襄陽奪還には成功したが、襄陽・江夏から南には南郡とよばれる豊かな領土が

広がっており、これの奪取が必要不可欠だった。

江夏はリュウキが2万の兵を持って守っていたので安心ではあったが、江南との境であり

同盟を組んでいるとはいえ、油断は出来なかった。

同時に、襄陽から北にもソウジンが兵を集めていた。ただ、ソウソウの落ち込み様は激しく

すぐには南下は出来まいと読み、南郡平定を急いでいた。

コウメイは軍を4つに分け、4つの城、つまり南郡全てを一気に取ろうと考えていた。

将はいる。カンウ・チョウヒ・チョウウン等、大軍を任せられる。

だが、それだけの兵力は無く、無駄な戦は出来なかった。


カンペイは一人、野を歩いていた。

南郡の城の一つ、長沙を落とすためカンウ指揮の元、軍を進めていたが、

「そろそろお前も総大将としてやってみろ」

と言われた為、探索に出ていたのだった。

洛陽付近の小屋でカンウに拾われてから時も経ち、見違えるように成長しており、

カンウやリュウビの期待に答える為にも何とか成功させたかった。


長沙城内に入り込んでみたが、太守:カンゲンの人気は薄かった。

だが、コウチュウという老将がいて、かなりの使い手だという話を聞けた。

また兵はその老将に鍛え上げられ、一筋縄ではいきそうになかった。

その為、水攻め、火攻め、どうにか出来まいかと城の周りを一人ウロチョロしていた。


そんな時、丘の上から女の悲鳴が聞こえた。

急ぎ駆け寄ってみれば、大きな虎が今にも女に飛びかかろうとしていた。

カンペイは考える暇も無く、虎に向かって叫び突進していた。

突進したものの、武器は短剣一つだったのに気付いて後悔したが既に遅く虎の爪がカンペイを襲った。

だが、間合いを読み取ると虎の下腹にひっついた。

虎はうなり声をあげるが、爪は届かず、牙も届かず、暴れまわるのみだった。

カンペイはそのまま短剣で虎の胸を刺したが、致命傷にはならず、ますます暴れ出した。

それはもう恐るべき力であり、カンペイは必死になってしがみ付いていた。

振り落とされればそのまま爪にかかり死は免れない。

だが、手も痺れてきて諦めかけた頃、大声が響いた。

「見上げた若者じゃ!もう少し辛抱していろ!」

その声の方を見ようとしたが、それどころではない。

やがて、虎は高い声で吠えると横倒しになった。カンペイも吹っ飛んだ。

慌ててカンペイは虎に向き直ったが立ち上がる様子も無く、よく見れば虎の眉間に太矢が刺さっていた。

「かっかっか」

という笑い声の方を見れば、馬にまたがったジジイが長弓を構えていた。

「お若いの、孫娘を助けてくれたのだな。感謝するぞ」

「は・・・はあ・・・」

カンペイは安堵の息を付いた。

娘が駆け寄ってきてカンペイを見るなり

「大変、傷だらけです」と言うと、

「シュウレイ、家に連れて行き手当てをしてやれ」

と言うと、弓をしまいカンペイに寄ってきた。

「ここらでは見ない顔だが、どなたかな?」

「はい・・・武者修行をしております。・・・トウスウと申します」

「・・・そうか、トウスウ殿か、お主は孫の命の恩人だ。家でゆっくりしていけ」

カンペイは起き上がろうとするが、虎が暴れ周っていた為地面に何度もぶつかり重症を負っていた。

そう言うとジジイは馬を降り、カンペイを片手で馬に乗せた。

カンペイとて、カンウの親戚だけあって体は大きかったが、恐るべきジジイの怪力であった。

こうして再び長沙城内に入り込んだ。

屋敷に連れて来られるとシュウレイが傷薬を持って来てカンペイに塗った。

塗る為にカンペイの上半身を脱がすと、シュウレイは頬を染めていた。

それを見てジジイは言った。

「お主、本当に感謝するぞい。ワシの唯一の家族なんじゃ。ワシはここの馬鹿太守に仕えている

コウチュウと申す。かっかっか。ゆっくりしていけ。シュウレイもそう言っておる」」

そう言うとコウチュウは「城に行って来る」と言って出て行った。

薬も塗り終わるとシュウレイも

「今、粥を作ってきますので」

と慌てて出て行った。

カンペイは、緊張と疲労から倒れこんだ。

「流れに身を任せてここまで入り込んでしまった・・・。だがこれも敵情を知る好機か。

しかし、あれがコウチュウ将軍か。恐るべき怪力と弓の腕だ・・・。これは大変だな」

と色々と考える内に寝てしまった。


カンペイの傷は思っていたよりも深く、傷は中々閉じなかった。

その間、出て行こうとしてもコウチュウはカンペイを気に入ったようで退き止め、

シュウレイのカンペイに対する気持ちも感じ取れるようになってしまった。

コウチュウが、

「大事な孫娘だが、お主にだったらくれてもいいわい」

等と冗談めかして言うとシュウレイは頬を染めて恥らっていた。

カンペイもシュウレイの献身的な看病と、着物の端から見える白い肌に唾を飲み込んでいた。


その頃、チョウヒ率いる軍が城を落とし次の城へ向かい、チョウウンの軍も勝利目前であった。

これを聞いたカンウは焦り、カンペイが行方知らずだが、長沙の目前まで軍を進めていた。


カンペイの傷も癒えて来た頃、慌しそうにコウチュウが入ってきた。

「おい、トウスウ殿。とうとう、リュウビの軍がやってきたわい。相手はカンウ将軍だという。

我が、馬鹿殿は城内を灰にしても戦い抜くと言っている。ここでお主を死なせるのは惜しい。

どうかシュウレイを連れてリュウビ軍に降ってくれ」

と言ったが、シュウレイは

「いえ、私も将軍の孫です。死ぬ覚悟は出来ています」と返したが

「ならん。リュウビ殿は心温かきお方だと聞く。カンウ殿もそうであろう。若い命を無駄にするな。

これはジジとして親としての命令だ。いいな!」

そう言うと弓を掛け、薙刀を持って出て行った。

カンペイが、

「シュウレイ殿、逃げましょう」と言ったが

「いえ、私はこのままでいいのです。ジジのいない世は考えられません。トウスウ様だけ

お逃げ下さい」と拒んだ。

カンペイは考えていたが・・・

「コウチュウ殿が生きていれば、付いてきてくれるのだな?」と言った。

「はぁ・・・はい」

それを聞くとカンペイは正座しシュウレイに向き直った。

「実は私、トウスウ等という者ではございません。リュウビ軍の此度の軍の将なのです」

「はい、ジジもそのように言っていました」

それに呆気に取られてしまったが、

「我が主、リュウ皇叔は人徳に溢れ殺生を好みません。それが敵であってもです。此度の戦は

太守カンゲンの独断による開戦と思われます。コウチュウ殿は死んでも守ります故、その時は・・・!」

それだけ言うとカンペイは着替え、馬を盗み城を出て行った。


カンゲン軍とカンウ軍はにらみ合う様な距離に詰め寄り、緊張した空気が流れていた。

そこにカンペイがカンウの元に着いた。

「父上!カンペイ只今戻りました!」

「おお?何をやっていたのだ!なんだ、その傷は」

「はっ、敵中視察を行った折、虎に襲われた所を敵将のコウチュウ殿に助けられ、城内に匿ってもらっていました」

「なんだと!この馬鹿者!・・・どの道、その傷では大将は無理だな、引っ込んでおれ」

「お待ち下さい!此度の戦は太守カンゲンが独断で開戦したものです。話せば分かることと思います!」

「ふざけるな!」

そう言うとカンウはカンペイを殴り倒した。

「もはや戦は免れん!そこで見ていろ!」

そう言うとカンウは馬を進めた。

するとカンゲン軍からも一人の老将が出てきた。

「カンウと申す!」

「コウチュウと申す!」

「おお、ご老体がコウチュウ殿か」

「ワシを知っておるのか」

「先ほど、我が息子が老体に虎から助けてもらったと言っておった」

「なんと!見所ある青年だとは思ったがカンウ殿のご子息とは。しかもワシが助けただと?」

「そう言っていた」

「助けられたのはワシの孫娘じゃ。見上げた若者じゃ。これは剣を交えるより杯を交えたくなったわ」

「ワシもそう思う。だがこれも戦場の習い。お覚悟!」

「おお!」

長い挨拶だったが二人の豪将はぶつかり合った。

獲物は同じ薙刀で、驚くことに力も均衡していた。

激しく火花を散らしぶつかりあったが、いつ終わるかも分からない勝負だった。

が、やがてコウチュウの馬が足を滑らせ地に投げ出された。

それでもコウチュウは薙刀を離さなかったが、それを放り投げた。カンウが近づいて

「どうされたご老体」

「いや、馬を御すのも勝負の内じゃ。お主の勝ちだ。斬るがいい」

「いやいや、このカンウ、馬のお陰で勝ったとあっては生涯笑いものにされる。馬を代えられよ」

「斬れ!」

「斬らぬ」

「斬れ!!」

「・・・汗を拭いてまいる」

そう言うとカンウは陣へ帰っていった。

仕方なくコウチュウが陣へ戻ると、カンゲンが怒った。

「何をしているか!無駄話をする暇があったら叩き斬れ!」

「そんな隙は無かったわい」

「なんだとお!ええい!貴様の特技は弓であろう!矢をカンウに突き立ててこい!」

「はぁ」

溜息混じりにコウチュウが弓を持ち、矢を1本だけ持つと再び前に出た。

それに応じてカンウも前に出た。

コウチュウが弓を構え、矢を放つと、その矢は瞬時にカンウに突き刺さった。

そうしてコウチュウは陣へ戻っていった。

「ほれ、カンウに矢を突き立てましたぞ」

「あぁ、突き立たったな。だがあれは何じゃ!!!!」

カンウに矢は刺さっていたが、カンウの付けている肩当の、紐の結び目に矢は刺さっていた。

カンウはこれに驚き、陣に引き上げた。

「ええい!太守を憚る愚か者め!!!こやつをひっとらえい!」

そう言うとコウチュウは部下に縄を掛けられた。

「見せしめじゃあ!」

と言うと、横にいた将軍:ギエンが止めた。

「お待ち下さい!先方の将を斬ったとあっては、士気が落ちます!」

「うるさいわい!貴様も謀反を起こすのか!」

もはやカンゲン軍は黙っていた。

そうしてカンゲンがコウチュウに剣を振り上げるのを見ると、

カンペイが疾風の如く駆け抜けた。

それに気付いたカンゲンが慌てているとカンペイの剣がカンゲンの首を刎ねた。

そして落ちた首を剣で突き刺し高々と掲げた。

「太守カンゲンの首級を得たり!」

それを見て笑っていたカンウも続けた。

「無駄な争いはするな!皇叔よりの言葉だ!降るものは殺さぬ!武器を置け!」

そう言うとカンゲン軍から歓声が起こった。

誰一人、抵抗する者も無く、カンゲンの首だけで長沙を得たのだった。

こうしてカンウが長沙に入り、領民を慰撫していた。

コウチュウ以外、全員がリュウビの元で働いてくれる事になったが、コウチュウは

ずっと仮病を使って屋敷にこもっていた。


やがてカンウが無理矢理に屋敷に入った。

「ご老体、おられるか!」

「む、屋敷に勝手に入るとは無礼であろう!」

「いや済まぬ。だがいつまで経っても会えぬので無理に入った。どうだ、老体も皇叔の元に来てくださらんか?」

「いや、行かぬ。馬鹿な太守であったが、それなりに感謝もしているのじゃ」

「そうか。ではもう一つ。・・・頂きたい物がござる」

「ワシから?何を取るというのか」

そう言うと、カンウは屋敷の戸を開け放った。その先の庭にはカンペイとシュウレイが並んで平伏していた。


コウチュウは戦からシュウレイに会っておらず、飛び付きたい気持ちではあったが押さえた。

「実は、倅のカンペイが孫娘のシュウレイを欲しいと言っておる」

「そうか。敗軍の将は何も語らぬ。持っていけ」

「では、あり難く頂こう。二言は無いな?」

「無いわい。馬鹿にするな。それよりもワシは自害すると決めたのだ」

「分かった。好きにするが良い。だが・・・」

「・・・」

「孫娘を嫁に出しておいて、祝宴に参加せぬというのか!」

「ふん」

「それにやがて子も生まれよう。そうしたら名を付けて頂かねば困る」

「・・・ふん」

「元服したら字も付けて貰わねば困る」

「おい!ワシは一体いつ死ねるのじゃ!」

「字をつけたら自害されるが良い。ワシが喜んで立ち会おう」

「・・・分かったわい」

こうしてコウチュウを長沙の太守として迎え、カンペイとシュウレイの式に立ち会った

コウチュウは涙を流して喜んだ。


やがてチョウヒが公安城を落とし、南郡4城はリュウビの支配下になった。


だが、これを聞いた江南は黙っていられなかった。

赤壁に大勝はしたものの、北上の際に失った兵も多く、追撃に参加していたシュウユも矢傷を

負ってしまっていた。

また、北上の基盤である念願だった襄陽を狙っていたが、それはリュウビに先に取られてしまったのだ。

ソンケンもこれには怒りを隠せず、傷を負ったままのシュウユが総大将となり襄陽に向けての

軍を集めていた。もはや江南から同盟破棄の使者がいつ来てもおかしくはなかった。


だが襄陽から南郡までを支配するリュウビ軍も江南に匹敵する力を蓄えており、

ソウソウ軍の動きも元に戻ってきた。

これ以外にも、西涼ではバトウの息子バチョウが勢力を伸ばし始め、

益州と漢中も兵を蓄え始めており、世はさらなる戦乱を迎えようとしていた。
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