そろそろ本気で終わりが見えてきたので少しでも繋がりを大切にしようと願う性騎士のブログです!
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リュウビの元にも、ソウソウ対エンショウの件は耳に入っていた。

ここで勝ったほうが中原を制覇する事は明らかであり、天下万民はその戦の行方を追った。


リュウビ達はしばらく古城にいたが、カンレンやビケイ・キョウテイも居る中で狭い

城にいることは窮屈であった。


そんな中だったが、リュウビは、ビケイの事を皆に話し、正式に第2婦人となった。

カンレンとも姉妹のように仲良くなりリュウビを安心させた。


だが、二人の奥方がいるのに、こんな城では、とカンウが言えば

チョウヒは「こんな城に未練は無いわい」と言ったが、他に行く宛てもなかった。

兵力も1万足らずであった。

そこにビジクが「荊州のリュウヒョウ殿を同族の宜みを通じて頼ってはいかがでしょうか」と進言した。

「果たして、リュウヒョウ殿は私を入れてくれるだろうか・・・」とリュウビは心配したが

「荊州は温和で、特にリュウヒョウ殿が学問が好きな為、知人、賢人が集まっていると聞いております。

特にソウソウは多くの都市を制圧する中で、追われる様に多くの学者が荊州に集まり庵を結んでいると聞きます」

「分かった。ではこの件はビジクに任せる。先に行ってリュウヒョウ殿の返事をもらって来てくれ」

そう言うとビジクは直ちに出発した。


古城の表では今日もチョウウンとカンペイがチョウヒとカンウに武芸・兵の統率を習っていた。

中でもチョウウンの上達振りは素晴らしくカンウやチョウヒにも引けを取らない豪の者となっていた。

リュウビはカンペイを見てカンウに話した。

「あれは稀に見る、肝っ玉の据わった青年だのう」

「いや、ただの命知らずだわい。まだまだ教える事が山ほどある」

「であれば、本当に親子となって教えてやったらどうだ?」

「そうだな。嫁はいらんが息子は欲しかった。おい!カンペイ!」

それをカンペイに伝えると泣いて喜び、カンペイはカンウの養子となった。

それに合わせて、リュウビが自身の字である字を一文字とって、字を「玄昭」とした。

この日カンペイは一日泣き続けこれを喜んだ。


そこにビジクが帰ってきた。

「リュウヒョウ殿は皇叔殿の荊州入りを大いに喜んで下さいました。ただ、心に一つ影がりました。

ここから荊州に入るにはソウソウ軍をかわしていかねばなりません。私は身一つなのでどうとでもなりましたが

この軍勢ではそうもいかないでしょう」

それを聞いたチョウウンが、

「恐れながら、この辺一帯のソウソウ軍は虚兵に過ぎません。本体は幽州に向けて配置されており、

荊州を睨む為だけの兵です。押せば突き崩せるかと」

と言うと、リュウビも

「そうであろう。ソウソウ殿は猜疑心の強い男だ。よし、押し通るぞ」

と行き先を決めた。



そこでリュウビはこれをキョショウに知らせようとジョナンに向ったが、悲報を聞いた。

中にはリキュウしか居なかった。

「リキュウどの!」

「あぁ、玄さんか・・・」

いつになく元気が無いリキュウ。

「どうしたのだ。先生は?」

「死んじまった」

「なんと・・・」

「ゲントクに土産をやらねばのう。と言って少し旅立ったが、帰ってくるなり書斎に籠もって

3日と立たぬ内に床に伏せ、いっちまっただよ」

「そうであったか・・・」

そう言うと書斎へ入り、いつもキョショウが座っていた机に向った。

「先生・・・」

と嘆いている所へ、リキュウが手紙を持ってきた。

「これが土産だと言っておった。ワシは字が読めんので何だか分からん」

そう言うと紙を広げたが、

(荊州のシバキを訪ねよ)

とそれだけが書かれていた。

「シバキ・・・とは・・・」とリュウビが問うと、

「あぁ、内の先生と良く遊んでいたジジイだよ。家も知っている」

「そうか・・・所でキュウさんはこれからどうするのだ?」

「もう先生もいないのだから生きていても仕方が無い。玄さんに土産も渡したし。そろそろ土に返るわい」

「馬鹿な事を!」とリュウビはリキュウの手を取った。

「そんな事を先生は望むまい。そうだ。私はこれから荊州へ移るのだが、一緒に来てくれないか。

私は先生の弟子だ。これから大きく伸し上ってみせる。兵も増える。それには大きな農耕地が必要になる。

キュウさんの力が必要なのだ!」

それを聞いてリキュウは段々と明るくなり、

「それじゃ、これからは玄さんとビケイさんとチョウさんと毎日一緒にいながら畑を出来るのか」

「そうだとも。それに加え、私の兄弟もいる。こいつらは体も大きく、よく食うぞ。しっかり頼む」

そう言うとリキュウは鋤やら鍬やら用意するとリュウビに付き添って古城に入った。


それからすぐに軍をまとめ、荊州に進めた。

また、チョウウンにリュウヘキの部下達をまとめあげさせ、追従するように命令した。

リュウヘキの部下達は自己流で軍隊の隊列等を行っており、チョウウンを感動させた。


こうして古城を捨て、荊州の襄陽へ向けて進軍した。

追従する筈の5千人のチョウウンの族部隊は山中をとんでもない速さで疾走し、ソウソウ軍を残さず蹴散らし

快進撃を見せた。


荊州。

リュウヒョウは対岸で「劉」の旗が快進撃を見せ、ソウソウ軍を潰して行くのを見て

「爽快だのう・・・」と呟いていた。

襄陽の対岸まで来ると、リュウビはビジクと二人でリュウヒョウに会いに行った。

リュウヒョウは喜んでリュウビの手を取り、驚くべき提案をしてくれた。

「おお、皇叔殿、健在であったか。何よりじゃ。ワシもソウソウが登場してからただ胸を痛めるだけであった。

だが、皇叔殿が味方に付いてくれればこんなに頼もしい事はない。そこでじゃ。ここより北に新野という城がある。

ワシの配下が守っているが、心元無いのだ。これを襄陽へ呼び寄せてあるので今は空っぽじゃ。急ぎ新野へ

向って下され」

「おお、リュウヒョウ殿。ありがとうございます。このゲントク、力の限り、新野を守り通します」

「うむ。対ソウソウの第一線じゃ。宜しく頼む」

「ところでリュウヒョウ殿、これは先ほどの戦で敵将が乗っていた馬です。稀に見る駿馬だと思い、贈り物と

させて頂きます」

そこにカイリョウという文官が割って入った。

「貴様!その馬をよく見ろ!白い肌に涙相あり、乗った者に仇を成すテキロという馬だ!そんなモノを寄越すのか!」

「なんと、人の生を馬に左右されるというか。愚かな・・・」

「だまらっしゃい!」

と争ったが、リュウヒョウは

「私も馬で人生を左右するとは思わないが、確かに駿馬じゃ。皇叔殿が自身で乗ると良い」

「はっ。それでは新野に向かいます」


そう言うとリュウビは軍を北に向けて進軍し、新野城に入った。


新野に入るなり、リキュウは土を舐め出した。

「おいおい!玄さん!これは何と贅沢な土か!これで裏(二毛作)をやらなかったらお天道様に怒られるわい!」

と言って張り切り、さっそく畝作りを始め、リュウビを満足させた。

リュウビはリュウヘキの部下達も軍の中に混ぜ、チョウヒとチョウウンが軍務に当たった。

カンウとカンペイは周辺の警備にあたり、ビジクは政治を手伝った。

こうして善政に勤めあげ、新野は潤い、兵3万を訓練し早くも自給自足が出来るようになった。

やがて新野に良い太守がいるという噂が流れ、流れてくる民や仕官を求める将も多かった。


ただ、敵は後ろにいた。

元々、新野を守っていたサイボウと言う男がリュウビを面白く思わなかった。

リュウヒョウの親族と結婚し伸し上った武将だが、器は小さくリュウビを妬んでいた。


リュウビは何度かリュウヒョウの元を訪れ、学問の話を聞いたが、ある日リュウヒョウから内密にと相談を受けた。

「実は、跡継ぎの事なのだ。ワシももう年だ。子も二人いる。それは良い。だが、兄の方は体が弱いのだ。

中身は詰まっているが、先は見えん・・・。弟は丈夫だが、肝心の中身が無い。どう決めたものか・・・」

「そればかりは私には何ともお答え出来ません。が、長子を廃し、次子を立てる事は領内の争いになる事が多い

ように感じます。各言う歴戦の国々もそうして滅んでいった例が多くあります」

「そうであったな・・・。目が覚めたわい。今日は襄陽でゆっくりとしていってくれ」

「は、いえ。出すぎた事を言ってしまいました。忘れて下さい」

とリュウビは遠慮がちに言ったが、それをサイボウの姉が裏で聞いていた。

それをサイボウと話すと怒り出した。次子の方はサイボウの姉の甥に当たっていたのだ。

「もう許せん・・・。リュウビめ、殺してくれる!」

翌日、リュウビは早々に襄陽を出ようとすると北門はしまっていた。寝ているのか、起こすのも悪いと思い

西門へ向ったが、同じく閉まっており、南門へも行ったが閉まっていた。だが幸い、東門だけは開いており

リュウビは東門から出た。が、すぐにリュウビの後ろから騎馬隊が追ってきた。

「リュウヒョウ殿を謀る無法者め!リュウビ覚悟!」といきなり襲われたのだった。

これにリュウビは逃げるが、やがて断崖に追われてしまった。川の流れは速く馬では渡れそうにない。

しかしリュウヒョウの臣下を殺すわけにもいかず、

「テキロよ、私に幸を成すか仇を成すか」

と言ってテキロの首を撫で、リュウビは馬毎飛び降りた。


馬も必死で川を渡り、なんとかリュウビは逃げ切った。リュウビはどことも分からぬ土地を彷徨っていたが

やがて一つの屋敷にたどり着いた。そこには火を炊いており、リュウビは服を乾かさせてもらおうと門を叩いた。

すると、ジジイが出てきて

「おお、早かったの皇叔殿」と門を開けた。

いきなり名前を呼ばれたのでリュウビは剣を抜いて身構えたが

「ほっほっほ。そう慌てるな皇叔ともあろう者が」

と気にする風も無く、中へ招いた。

「ほれ、早くせぬと風邪をひくぞ」

と言われ、リュウビは剣をしまい恐る恐る中へ入った。警戒は怠らずにリュウビは尋ねた。

「失礼ですが、どなたでしょうか」

「ワシはシバキという。お主じゃろキョショウのジジイと遊んでおったのは」

と聞くなりリュウビは平伏した。

「よいよい。実は昨晩の星を見ていてな。お主が来るのは分かっておった。だがこんなに早くからとは

思わなんだ」

「大変失礼しました」とリュウビが言えば「よいよい」と返し、リュウビはキョショウについて語り出した。

「・・・そうか。キョショウは死んだか。で、土産がワシとな・・・」

「はい・・・」

「よいよい」

服も乾いた頃、シバキは屋敷の中にリュウビを案内した。そこで地図を広げ、全国の現状を語り出した。

やがて、「ソウソウは何故大きくなり、何故リュウビは放浪ばかりするのか」と聞かれた。

「私が将たる器では無いからでしょう」と言えば、「よいよい」と言い続けた。

「お主は徳がある。新野を見ていれば分かる。政治も公正じゃ。言う事は無い。武においては言う事はあるまい。

恐ろしい者が揃っている。軍の統率も問題無い。では何が足りぬか・・・」

「・・は・・・・」

「知略が足りん。脳みそじゃ。脳みそ」

「はぁ」

「ソウソウにはこれがある。キョショウも言っておったじゃろう」

「私は・・・どうすれば」

とリュウビは今にも泣きそうになった。

「実はな、キョショウが死ぬ前にここに何度も足を運んでいた。体の調子も悪かったろうに、そのせいで死んだのかも」

「・・・」

「そこでヤツはワシに頼み込んできた。リュウビに軍師が欲しいと。義に拘る馬鹿弟子の殻を破る逸材が欲しい。とな」

リュウビは泣き出した。

「ソウソウにも勝る知略、さらに人徳馬鹿の皇叔を納得させ、この天下に旋風を巻き起こす人物はいないか、と」

「・・・」

「ワシは言ってやった。そんなヤツがいるわけなかろう。とな。それでもキョショウは引き下がらなんだ。年よりはしつこくて

いかん。だが、心から迫れば、人の心は動くもの。これはお主も知っていよう。むしろ得意な分野じゃの」

「・・・」

「・・・そういった人物は2人いる。しかもここより程近くにじゃ」

「なんと!どこにいるのですか!」

「ほっほ。将軍というのは自分の尻も自分で拭けぬのか。知りたければ自分で探すが良い。さて話し疲れたわい」

そう言うとシバキは横になった。リュウビはその場を動かなかった。やがてシバキは口を開いた。

「ま、キョショウの弟子じゃ。名前だけ教えてやろう。一人は炎。普段は風に任せて燃えるが、一度怒り出せば渦を巻き

大きくなり、さらに風をも呼ぶ。名をホウトウという。もう一人は水。形に捕らわれずにどんな入れ物にでも収まる。

覗き込めば自分自身を映し出し、怒れば全てを飲み込み岩すらも削る。名をショカツリョウという」

それだけ言うとシバキは嚊を立てて寝てしまった。

「ホウトウ・・・ショカツリョウ・・・・」

リュウビはシバキの背中に平伏し、布を掛けると戸を閉め、火を消し、また門の前で平伏し出て行った。


「さて、お主らにはどう見えたかな」と、シバキは口を開いた。狸寝入りだった。

「優しそうな人物じゃ。あれで乱世をよく生きてきたものだ」

「・・・」

「どうしたコウメイ」

「いえ、以前見たことがあります。まだ子供の頃ですが・・・」

「ふむ・・・。よいよい」



リュウビは狂ったように「ホウトウ、ショカツリョウ」を連呼していた。

リュウビはひたすら北に向かって駆けていたが、やがて農夫に出会い、新野への道を尋ね城へ戻った。


城では大騒ぎになっていた。リュウビが襄陽に行ったまま連絡も無く夕方まで帰って来ないのだ。当然である。

帰ってきたリュウビを見て、一同諸将は安堵の表情を見せた。


仔細を会議の場で伝え、襄陽にも警戒を強めた。

そこで、シバキと会った事も話すと、一同は翌日から人探しを行うようになった。


すると直ぐにチョウウンが見つけてきた。

「隆中という所にショカツリョウと言う人物がいるそうです」と言えばすぐにリュウビは案内してもらった。


チョウウンと二人で隆中に入り、農夫にショカツリョウについて聞けばすぐに屋敷まで案内された。

屋敷には子供が外で遊んでおり、ショカツリョウは居るかと聞いたが出かけていると言った。

「いつ頃戻るか分かるかな?」

「わからん」

「そうか。また改めてこよう。ではまたな」

そう言うと二人は新野へ引き返していった。


だが、ホウトウについてはいつまで経っても見つからなかった。

3日経った頃、リュウビがチョウウンに「隆中に行きたいのだが」と言えばチョウウンも喜んで従った。

再び屋敷の前に着くとやはり外で子供が遊んでいた。聞けば、

「今日は居るぞ」

「おお、では呼んでもらえるかな」

「はい、そこで待ってなされ」

と言った。チョウウンは「老人のような言葉を使いますな。呑気な子供だ」と言えば、

「私もロショク先生には呑気だと笑われたものだ。学者にとってはそういう子供が気が紛れてよいのであろう」

と師弟で笑いあった。

すると、しばらくして男が出てきた。

「いやいやいや、申し訳ありません。リョウを尋ねてきたのですね」

「はい。そうですが・・・」

「申し訳ない。あの子はお惚け者でして、嘘を付いてしまいました。リョウは今こちらにいないのです」

「・・・そうですか。ではショカツリョウ殿に伝言をお願い致します。リュウゲントクが尋ねてきたとそれだけ

お願い致します」

「はい、分かりました。お気をつけて・・・」


明らかに居留守と分かった。チョウウンも不機嫌になったが、リュウビの顔はそれよりも会うのが楽しみだ

と言わんばかりに輝いており、心を正した。

また3日経つ頃、リュウビがチョウウンに申し訳無さそうに言った。

「また隆中に行きたいのだが・・・」と言えばチョウウンは「はい、喜んでお供します」と声を張った。


今度は先日の男が表にいたので尋ねたが

「今は出かけております。」と言い、戻りはいつになるか分からないという。

今度はリュウビは、懐から手紙を差し出した。

「それをショカツリョウどのに渡して下され」

そう言うと二人は帰っていった。


男は屋敷に入った。

「兄上、何故居留守を使われるのですか・・・」

「・・・キンよ、皇叔殿は今、リュウヒョウ殿を頼っている」

「はい、存じております」

「皇叔が私を頼るという事は、天下に覇を唱える事になるだろう。それだけの人物だと見ている」

「はぁ」

「さすれば、荊州とて皇叔のモノになるであろう。いやむしろ、荊州を基盤としなければソウソウには対抗出来ない」

「確かに・・・」

「だが知っての通り、私はリュウヒョウ殿と親戚になっている。その決別の決断が出来ずに時間が欲しかった」

「でしたら仕官を断ったら如何でしょうか」

「そこらへんの太守であればそうしている。リュウヒョウ殿の誘いも断り続けてきた。だが・・・」

「?」

「お主は子供の頃を覚えているか」

「あまり・・・・」

「私は覚えている。徐州にいて、当時の太守トウケンはソウソウの怒りを買い、攻められた。効し様も無い大群にだ。

そこに徐州から出たのはただ一騎。徐州食客・劉備の旗を掲げた将であった」

「それが、あの皇叔殿ですか」

「あぁ。私にはその姿が目に焼きついて離れないのだ。10万もの兵を前に丸腰で、徐州の民の為に一人立ち塞がった。

もし皇叔が居なければ、私たちは今頃星になっていたであろう」

「そうでしたか・・・」

「だからこそ皇叔殿の力になりたい。だが、今は時が欲しい。キンよ。私は少し旅に出る。また皇叔は来るであろうが

今の話は内密に・・・」

「分かりました」

「迷惑を掛けるな」

「いえ」

そう言うとショカツリョウ=コウメイは諸国を歩き回った。

西涼~漢中~益州~南郡~江南~徐州~キ州。そこまでいくと都を通り、隆中に帰ってきた。

帰ってくるなり、書斎に籠もり3日も出てこなかった。が、やがて寝てしまった。


チョウウンは隆中に毎日のように通い、ショカツリョウの帰還を確かめると、リュウビに報告した。

「本当か!行くぞチョウウン!」

そう言って再び隆中に向った。


だが、着いたところでショカツキンには

「今は昼寝をしています・・・」

と言われ、「起こしてきます」と言われたがリュウビはそれを拒み、屋敷の中で待たせてもらう事にした。

中には書物が几帳面に並べられ、庭には軍隊の整列を思わせるように野菜が植えられていた。

「これはかなりの細かい性格の人のようです」とチョウウンは心配になった。


やがてショカツリョウは目を覚まし、キンにリュウビの来訪を告げられ慌てた。

ショカツキンが目覚めたと、案内をしに来るとチョウウンは表で子供と遊んでいます、と気を使った。

リュウビはショカツリョウを見た。

知人と言われていたのでロショクやシバキのような背が低く痩せた人物を思い浮かべたが

背は高く、しっかりとした体格の色白の男であった。

挨拶をすませるとショカツリョウ=コウメイは話しを始めた。


「今や、天下の体制は決まりつつあります。官渡の戦いではソウソウが圧倒的に押し、間もなく決着が着くでしょう。

さすれば中原の全てを手に入れる事となります。西にはバトウ殿の納める国がありましたが、将の器は小さく出てきません。

江南のソンケンは地の利に恵まれ、軍を養い大きな戦力を持っています。中原にも何度も伺い野望も丸出しです。

・・・もはや天下はソウソウとソンケンで2分され、あなたの出る幕は無いでしょう」

「・・・」

「ですが、私は徐州であなたの勇姿を見て、また、シバキ先生に皇叔に付けと言われ、何とか活路を見出しました」

そして地図を広げ西を指した。

「ここより西に益州があります。ここも江南と同じで地の利に恵まれ、山々に囲まれ守るに易く攻めるに硬い

国です。また荊州、南郡を納め益州を取れば、土地の大きさで2国に拮抗し、天下が3分されるでしょう」

「天下が3分・・・・」

「ですが、皇叔は人徳のお方。故無く攻める事は出来ないでしょう。つまり、この3分の計は実現不可能となります。

そうであれば、私は晴耕雨読。仕官はしません。ですが、天下万民を思い、帝を救い出すという気があるのであれば

このコウメイ、命の限り皇叔にお仕え致します」

リュウビはじっと地図を眺めていたが、その自信溢れるショカツリョウに頼もしさを覚え、その手を取った。

「どうか私の師となり父となり、このゲントクを導いて下され」

それを聞くとショカツリョウは荷物をまとめ、ショカツキンに別れを告げると3人で新野へと帰っていった。


リュウビは事ある毎にショカツリョウの元に出向き、天下の情勢等を語り合った。

それを諸将は面白く思わなかったが、やがてリュウビは

「コウメイ殿を得たのは、魚が水を得たようなものだ!」と言うとますます諸将の反感を買った。

特にチョウヒはこれを良しと思わず、コウメイを「水!」と呼び、ひどい時は「水野郎!」と呼びつけた。

それらの将の反感もコウメイは意に介せず、諸将と深く話し特徴を掴み、城内を隈なく歩き回り続けた。


一方、許昌ではソウソウがテイイクと酒を飲み語り合っていた。

「テイイクはいくつになるか」

「60になります。この官渡の戦いが終われば隠居しようかと思っています」

「ワシもそろそろ50になる。時が足りぬ」

「焦らぬ事です。殿は天の和を得ています。まずは北方のエンショウを滅し、その上で江南を攻め

そうすればもう殿に歯向かう者はおりますまい」

「・・・ゲントクが新野に城を構えたというな・・・」

「は・・・ですが、リュウヒョウの居候であり戦力も3万余り、恐れる事もありますまい。まずはエンショウです。

新野攻めはなりませぬぞ」

「ふん・・・」

とソウソウは鼻で笑った。既に新野攻めは始めていたのだった。が、それは直接的な攻撃ではなく、

襄陽の内部から攻めていた。

サイボウにリュウビを倒せば莫大な恩賞と官位を与えるといい、味方に付けていたのだった。これでリュウビは逃げ道を

失う。まずは小手調べにソウジンに5万の兵を与え、新野を攻めさせた。


これを知ったリュウビはコウメイを中心に軍議を開いた。

諸将は兵力の差から、恐れる者もいたがコウメイは全くそのような気は微塵も見せなかった。コウメイが

「出来るだけ我がほうの兵を失わずに、敵を全滅させましょう」と言った。チョウヒは

「何だと!敵は2万もこっちより多いんだ、そんな事が出来るかい!!!」と反抗したが無視し作戦を伝えた。

先方はチョウウンが5千、後ろにリュウビが本体1万、カンウとチョウヒは5千を持って左右に待機。

城は1万を持って守る。との事だった。先方は5千で勝てぬ戦をしかけ、本体と共に後退。それを見て

左右から部隊を突っ込ませ、それを見たら先方・本体も攻撃に転じる。混乱し退いた先にはカンペイが手兵で火を放つ。

との事だった。チョウヒは

「何で敵の動きまで分かるんだこの野郎!」と言ったが、「予想です」と答えた。

「そんな予想で俺たちは死ぬかもしれんのだぞ!!」

「予想は予想ですが、運に任せているわけではありません。全て計算の上で作戦を指示しています」

「・・・もし、これが失敗したらどうする!」

「失敗すれば私の首を差し上げます」

「言ったな!それよりもだ!何で水野郎は作戦に加わらないのだ!」

「いえ、私は城で勝利の祝杯の準備を致します」

これにチョウヒは二の口が告げなかった。カンウも「言うのう・・・」と手を組むだけだった。


そして来るソウジンの軍に対し作戦が始まった。諸将は全員不安を胸に留めていたが、戦争は全く会議の通りになった。

数は劣っても伏兵と火計により、2千の兵を失っただけでソウジンの軍を壊滅させた。

リュウビ軍が揃うと、勝利の祝杯となり、チョウヒはまだ蟠りを覚えていたが、カンウやチョウウンはコウメイに

夢中になっていた。

その席でコウメイが言った。

「これはソウソウの小手調べです。近いうちに必ずや本体が参りましょう。その時は殿・・・」

「あぁ、分かっている。新野で防ぎきれない時は我らは襄陽に入る」

それを聞くと諸将はこれまでの優しいだけのリュウビがいないようで寂しくもあったが、

同時に、これから開けるであろう輝かしい未来に思いを馳せるのであった。

ただ、新野を愕然とさせたのは襄陽で内乱が起こったとの知らせだった。


新野で大敗を喫したが、エンショウとの戦いも終焉を向かえソウソウは上機嫌だった。

すると、幽州攻めはソウコウに全権限を預け、ソウソウ自ら軍を率いて新野攻めを開始した。

この頃には幽州で降った敵兵も合わせて全軍で150万近い大軍勢となっていた。

新野攻めの先方はカコウトンで兵力は前回の倍の10万とした。


前方からは大群。後方では内乱。

リュウビもコウメイも不安を隠しきれなかったが、逃げる道は無かった。


リュウビとソウソウの最初で最後の直接対決が始まろうとしていた。
コメント
この記事へのコメント
本当に俺の知ってる三国志と全然違うねぇ・・・。
まぁ、それが興味深いんだけどねw
俺の知ってる話だと謹は孔明の兄だし、孔明に会う前にホウトウに会ってるし、さらに、三顧の礼で迎えた時にいたのは謹じゃなくて孔明の妹だったよ(謹はこの時には既に呉に仕えていた。

ようやく三国が揃いそうなんだけど、少し細かい事を言うと、蜀が劉備、魏が曹操、呉が孫権っていうのが有名だけど、実は曹操は自分が存命中は魏って名乗ったことはなかったんだってね。
だから、本当の三国は、蜀が劉備、魏が曹丕、呉が孫権となるんだね。
2011/04/21(木) 02:18 | URL | 冷麺 #-[ 編集]
>めん

ごめんwここのキンは均なんだw

チョンちゃんの諸克均w

妹は出てこなかったなぁ・・多分w

でも歴史で勉強したやつってソウソウがギじゃなかったっけ?w

もう10年以上も前の話か・・・アタイも年をとるわんw
2011/04/21(木) 06:49 | URL | まる #-[ 編集]
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