そろそろ本気で終わりが見えてきたので少しでも繋がりを大切にしようと願う性騎士のブログです!
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ソウソウの檄文により、およそ14カ国の太守が集まりその数は20万にも達していた。

中でも幽州のエンショウは5万の兵を連れ、その弟のエンジュツも3万の兵を連れていた。

リュウビが居候していたコウソンサンも1万の兵を連れていた。


全員が集まった際に話題となったのが、誰を連合軍党首とするか、だが最も多くの兵を連れている

エンショウと決まった。


連合軍の集まった陳留からトウタクのいる洛陽まではシスイカン・コロウカンと呼ばれる防壁が

あり、硬く門を閉ざしていた。


トウタク軍では、烏合の衆として楽観視していた。

リョフが、「俺に5万の兵をくれ。踏み潰してやる」と言ったが

カユウがリョフの肩を叩き「ニワトリの首を狩るのに何で牛刀を出すのです。

私が行きましょう」


その意気込みを買ったトウタクはカユウに5万の兵を預けシスイカンに向わせた。

一方、連合軍では誰が先陣を努めるかで、揉めていた。

ソウソウはこれでは戦う前から勝負は決まってしまったものだ、と感じていた。

まず名乗り出たのがコウソンサンだった。次は江南のソンケンだった。

ここで、ソンケンは2万の兵を連れていた為先陣であれば数の勝負だろうと、ソンケンが選ばれた。


意気揚々とソンケンは出陣をしたが、食料の輸送を任されていたエンジュツは

「やがて江南は大きな脅威となるであろう」と輸送をしなかった。

そのため、ソンケンの軍は士気がガタ落ちし、シスイカンの外でカユウの軍勢に叩きのめされた。

残った兵は3000を切りソンケン自身も手傷を負ってしまった。


すると勢いに乗ったカユウの軍が連合軍の目の前まで迫っていた。

連合軍内でも食料の輸送がされなかった事が判明し士気は下がっていた。

カユウは20万近くの軍勢の目前まで迫り、挑発してきた。

エンショウはこれを許さず、一騎打ちに望む者を募集した。

(わたしゃあこの時だれがいったかおぼえてませんwww)

真っ先に名乗り出た将に対し出陣を許し、カユウと一騎打ちに望んだが、5合と合わさぬ内に

カユウの一閃で朽ち果てた。

続く将にも向わせたが、これまた一瞬で勝負がついてしまった。

勢いに乗るカユウ軍。対して連合軍は慌てふためいていた。

既にやられた二人も有名な武将ではあったが全く歯が立たなかったのである。


これを受けてチョウヒが名乗り出たが、コウソンサンの食客の身であるという理由から却下された。

次に懲りずにカンウが名乗り出た。その時に、チョウヒと二人で5000の兵を追い返した事や

カユウの事を良く知っている事を言い連ねると、ソウソウがその意を汲んでエンショウに懇願した。

「ちぇ、ずりいやい。兄貴だけ」

リュウビはチョウヒを宥めるのに必死だった。


「これは戦い前の祝いの酒だ」

とソウソウが酒を差し出すと、

「いや、カユウを斬ってからゆっくりと頂きましょう」というと

カンウは単騎でカユウの元へ向った。

互いに名乗りあい、槍と薙刀を重ね戦いが始まったかと思うと、大薙刀がカユウの首を刎ねた。

刎ねたかと思えば空中にあるカユウの首を突き刺し、悠々と連合軍の陣へ持って帰った。

これを見たコウソンサンが号令すると、5000の騎馬隊を先頭にシスイカンへ攻め上った。

カユウを失ったトウタク軍は慌てふためき、散々に打ちのめされてコロウカンへと逃げていった。


この時、ソウソウがカユウの首を確認し、先ほどの約束通りカンウに酒を出そうとして杯を掴んだ。

すると、そのまま杯をエンショウに渡した。

「おお、酒はまだ冷めておらぬぞ!!」

その声に連合軍は歓喜の声を上げ全軍の士気を上げた。


「カンウ、酒なお温かき内にカユウを斬る」

これにより、カンウの武名は全土に広がって行くことになる。


コウソンサンの軍は快進撃を続けていたが、やがてコロウカンまで軍勢を進めた所で急に止まった。

門の前には真っ赤な大馬にまたがった巨大な男が仁王立ちしていた。

10騎程がまとめて突っ込んでいったが、その男が戟を左右に振れば馬だけがその場に残った。

完全にコウソンサン軍の勢いは止まってしまったのである。

この男こそ、育ての親であるテイゲンを斬り、トウタクの息子となったリョフだった。


距離を置いてコウソンサン軍が様子を見ていると、仲間が次々と倒れていく。

見ればリョフが大弓を構え軍勢に向って打ちまくっていた。

これに対しコウソンサン軍の弓隊も打ち返したが届かなかった。

それでもリョフの放つ弓は次々と死体の山を築いていった。

コウソンサンがそれを見て後退を指示すると、リョフはその隙を逃さず単騎で追いかけてきた。

5人、10人、20人と次々とリョフにやられ、コウソンサン軍はコロウカンから遥か遠方にまで

下がってしまった。


そこにカンウ共々、連合軍が集結したが、リョフの姿とコウソンサン軍の悲惨な状態を見て

唾を飲むばかりであった。


リョフは高々に大声で叫んだ。

「所詮、お前らは烏合の衆だ!さっさと田舎に帰れ!」

それを聞いたカンウが薙刀を構え再び単騎でリョフに向っていった。が、それよりも早く

チョウヒが勝手に出ていた。

「なんなんだ!あいつは!」

エンショウを始め諸侯が言えば、カンウが大声で

「あいつはワシの弟でチョウ=ヒ=ヨクトクという。武芸ではワシはあいつには勝てんのだ」

それを聞いた連合軍は、そのチョウヒの行く手に目をやった。


「お前が親殺しのリョフだな!」

「なんだと、この目玉野郎!」

チョウヒはヒゲモジャな上にギョロギョロとした大きな目をしていたので、これは仕方が無いw


お互いに罵り終えると戟と矛が火花を散らして戦った。

リュウビは心配していたが、カンウが

「心配無い。あいつの腕は確かだ。リョフ如きに遅れは取らんだろう」

と肩を叩いた。

リュウビもそうあって欲しいと願った。

(事実、チョウヒと遊びで武芸の稽古をしていたが、カンウが勝った事は一度も無かった



しかし、やがてチョウヒの体からは汗が絶えず出続け白い蒸気となって出てきた。

対してリョフは汗一つかいていなかった。

一つ一つ、戟と矛が合わさる度に地響きのような鈍い音がしていたが、やがて

チョウヒは防戦一方となった。

それを見たカンウは馬を走らせ2対1でリョフに挑む事となったが、リョフはそれでも余裕の表情を見せていた。

これに不安を感じたリュウビも2剣を振り回し、とうとう3人掛りでリョフに対した。


カンウとチョウヒが豪の者であるというのは諸国の連中も知る所であり、そこにリュウビも加わったのだ。

それでも、リョフは防ぎきり、一瞬でも隙を見つけると一撃で虎をも沈めるであろう突きを繰り出してくる。

3人は、それを間一髪で避けるのが精一杯だった。


どれほど、この状態が続いたか。さすがに3人相手は分が悪いと悟ったリョフは馬を返して

コロウカンへと向っていった。

「ま、待てぇ!」

とチョウヒとカンウが追うが、赤ト馬の足には追いつけず、リョフは門の中へ入り、門も閉じられてしまった。

仕方なく3人は陣へ引き返したが、力を抜くと3人とも地へ倒れこんだ。

「俺達は・・・勝ったのか、負けたのか・・・」

「わからん・・・」

リュウビも同じく思っていた。

カンウとチョウヒはこれまで一対一の戦いには必ず勝ってきた強者であり、そこに自分が加わっても

ただ一人の男を倒せなかった。

世界は広いな・・・とリュウビは笑みを浮かべるしかなかった。


その様子を見た連合軍は意気消沈してしまった。

カユウに唯一、抗し得た3兄弟が、とうとうリョフを倒せなかったのである。

もはや、攻める気を無くしてしまっていた。

同様に、トクタク軍でも無敵であろうリョフが逃げてきたという事実に士気は低下していた。


こうして互いに、にらみ合うだけの戦となっていった。

ちょっとした小競り合いはあっても、戦を左右するような戦闘にはならず、無駄に時間だけが

過ぎていった。


そして事態は急変する。

コロウカンへの物見の兵が

「コロウカンはもぬけの殻です!」

連合軍は直ちに兵を進め、洛陽まで迫ったが、その都は火の海となっていた。


これを見た連合軍は意見が分かれた。

「今こそ、トウタクを追撃するのだ!好機を逃してはいかん!!」

「いや、兵も長旅に加え長期戦となり疲れきっている。ここは待つべきだ!!」

など、統率の取れない状態になっていた。


しかし、これぞトウタク軍の軍師、リジュの策。

連合軍とは名ばかり、食料の輸送を拒んだり、功を競い合ったりと

それぞれの太守の野望が丸出しであったのだ。


だったら、いっそ洛陽を捨て、古都:長安に遷都し、連合軍の統率を欠き、

その後は散り散りになった諸侯に、それぞれ高い位の役職を与えれば歯向かう者もいないだろう。

との策だった。

これを見抜けたのはソウソウだけであり、諦めずに追撃を進言したが

党首であるエンショウも疲れきっており、もはや誰も追撃しよう等と言うものはいなくなっていた。

「洛陽を取り返したのだ。上場では無いか」

「ソウソウめ、これを機に伸し上るつもりだろうが、そうは行くか」

など、連合軍はバラバラになっていた。


やがてソウソウは「小物に用は無いわ!」と吐き捨てると、自分の軍だけでトウタクを追っていった。

洛陽が空っぽになる、という事は、民も一緒に連れて行く事になり、足も遅いはずなのだ。


やがてソウソウはトウタク軍の尻尾を捕まえたが、伏兵に合い、リョフに返り討ちに合い

命からがら、その場を逃げた。


その情報を得た連合軍は、「それみろ」とほくそ笑み、解散する事となった。

リュウビは悩んでいた。

「これでいいのだろうか・・・」

同時に、折角ソウソウが檄文を出したのにこの体たらく。もはや何が正義か分からなくなっていた。


リュウビがカンウ達と帰りの支度をしていると、コウソンサンから呼ばれた。

内密であるらしく、物陰に隠れた。

「ゲントク、ワシは北平に帰ったらすぐに軍を再編成し、キ州を取る」

「何と!」

「ワシもこの戦いで目が覚めた。もはや綺麗事だけでは乱世は生きてゆけんのだ」

「しかし・・・」

「いつまで青臭い事を言っている。ワシ等はもう子供では無いのだぞ」

「・・・」

「この作戦はエンショウ殿から言われた事でな。お主もアンキ県にいたのだ。あの辺の地勢はしっていよう」

「確かに実り豊かな所ではあるが・・・ハクゲンはそこの太守であるカンプク殿に恨みでもあるのか?」

「そんなものは無い。だが今まで以上に兵を養うにはもはやキ州を取るしかないのだ。わかるな。」

リュウビはしばらく考えたが、

「いや、済まない。私には協力する事は出来ない」

「・・・どうあってもか・・」

「どうあってもだ。故なくして他人を攻める事は出来ぬ」

「・・・ゲントク」

そう言うとコウソンサンは剣に手をかけた。

「これは内密の話なのだ。断られたとあらば露見する前にお前を切らねばならん」

リュウビはすぐに答えた。

「私が親友の秘密を話すとでも思っているのか!どんな拷問を受けようとも決して口外しない。

それが分からぬようであれば、私を斬るがいい」

そう言うとリュウビは自身の剣を投げ捨て正座し目を瞑った。

しばらくして、コウソンサンは構えを解きリュウビの手を握った。

「すまなかった。ゲントク」

「いいんだ、ハクゲン」

「だが、俺はこの戦いは止めぬ」

「・・・」

「もう、会う事もあるまい・・・」


そう言うとコウソンサンは去っていった。

リュウビにとって唯一の大親友であったが、これが二人の最後となった。


しばらくリュウビは考え込んでいたが、物陰から出るとカンウとチョウヒがいた。

チョウヒは急に口笛を吹き、カンウは目を瞑ったまま動かなかった。

リュウビは、

「さぁ、これから我ら3人、また振り出しに戻ってしまったな」

と、自分を励ますように言った。


帰り支度を終え、タクケンにでも帰ろうかと言っていると、そこにジジイがやってきた。

「おお、リュウビどの。やっと見つけました」

「これはトウケンどの」

トウケンとは、除州を治める太守であり、先祖代々その土地を守ってきた一族であった。

「実は先日、キョショウ殿が見えましてな」

「先生が!?」

「はい、キョショウ殿に言われた事もあるのですが・・・それでなくとも、

私の納める除州は実り豊かで人の和も育まれておりますが、戦の知識が無いのです。

そこで、今回のあなた方の戦いを見て、是非ご教授頂きたいと思いましたのじゃ。だが、

コウソンサン殿の食客としておられたので声を掛けられずにいましたが、コウソンサン殿は

先に帰られたご様子。もし差し使えなければ遊びに来てくれるだけでも構いません。

いかがなものでしょうか?」

トウケンの言葉には優しさが詰まっており、まるで仏に話しかけられているかの如くだった。

リュウビは答えに窮していたが、振り返るとカンウもチョウヒもトウケンの姿に引き込まれている。

「喜んで伺いましょう」

「それは良かった。希望だけで僅かな兵と連合軍に参加しましたが、無駄な戦いとならずに

済みました。良かった良かった」


こうして居候好きなリュウビ達はw


こうしてリュウビ達は除州へと向ったのであった。


一方、長安では大規模な復興が進み、あっという間に都らしい煌びやかな建物が建ちならんだ。

トウタクは再び悪政を開始し、リジュによって諸侯に金銀と新たな官位が授けられた。

連合軍も潰れた今、トウタクに歯向かおうとする者は誰一人としていなくなったのである。


除州に着いたリュウビ達は、長閑な日々を過ごしていた。

人々は大変温和であり、治安も良かった。

リュウビは、これが王道ではないか・・・と思っていた。


ただ、軍事に関しては空っぽであり、兵隊はいるものの戦では使い物にならなそうだった。

これはカンウとチョウヒが担当し、軍を鍛え上げていった。

リュウビはトウケンの政治をその目で見て、覚える事が山積であり、充実した日々であった。


度々、リュウビ達は持て成しを受けていたが、トウケンがどうしても会わせたいという人物が

いるとの事で、その席に呼ばれたのはビジクという実直そうな男であった。

ビジクの家柄は代々、除州に使えており相当な金も蓄えており権力も持っていた。だが、

決して奢る事は無く、それがリュウビの心を掴んだ。

何度となくトウケンを中心にリュウビ達が誘われ、ビジクが招かれるようになった頃、

ビジクが妹を連れてきた。

これがリュウビにとってオウヒツを思わせるような美女であった。

ビジクが紹介して

「これは妹のビケイです。女ですが、一通りの武芸を仕込んでおります」

そう紹介されたビケイは深深と頭を下げると目を閉じうつむいたまま澄ましていた。

そこに酔ったチョウヒが

「女が武芸だと!しゃらくせえ」

と挑発をしたが、ビケイは澄ましたまま下を向いていたので、頭に来たチョウヒは

飲み干した杯をビケイに投げつけた。リュウビが止める隙も無かった。

目にも止まらぬ速さでビケイに向った杯は、宙で止まり、華麗に回転したかと思うと静かに

ビケイの手で卓に置かれた。

一同が唖然とする中で、カンウはチョウヒにゲンコツをかました。


しばらくして、ロショクからリュウビ宛に文が届いた。

そこには長安の復興も終わったので、リュウビをオウインに会わせたいとの旨が記してあり、

リュウビはこれを受けて長安へ経つ事にした。

チョウヒも行きたがったが、お前が行ったら大騒ぎになるとカンウに止められ、リュウビは一人

長安へ向った。

オウインには返しきれない恩がある。アンキ県への赴任も、巡察官を懲らしめたのに咎が無かった事も

オウインの力無くしてはありえなかったのである。それなのに顔すら知らなかったのだ。

この時、リュウビはオウインとオウヒツが繋がっている事など知る由も無かった。


気ままな一人旅であったが焼け跡の洛陽を通る際、どうにも居たたまれない気持ちになった。

だが、ロショクの屋敷に着くと、それは一掃され以前のように師弟で飲み明かした。


っていうか、こいつらどんだけ飲むんだよwってねw





やがてオウインの屋敷に二人で出向く事となり、リュウビは緊張していた。

「そう固まらずとも良い。わしと同じただのジジイだ」

「はぁ・・」


オウインに会い、客席に招かれロショクと3人で語り合っていると

オウインが手を叩いた。

「これチョウセン。出てきてお客人に酌をしなさい」

そう言われて出てきたのはかなりの美形な女性であった。

「これは私の親戚の娘でな。戦で家族を失った為、ワシが預かっているのだ」

と紹介をした。

「あら、ロショク先生はまたいらしたのですね」

「酒はいくつになっても離れられそうに無いわ」

等とロショクに酒を注ぎ終わると、チョウセンはリュウビの隣に来た。

「はい、お侍さん・・・」

と、リュウビと目が合うとチョウセンは固まってしまった。

リュウビも瞬時に固まった。


互いに、ひと時も忘れた事の無い相手同士であり、時は経てどもその思いが褪せる事は無かった。

チョウセンの手は振るえだし、リュウビの手も振るえだした。

酌の手と杯の手はカタカタと振るえ、合わさりあい、音を出していた。

が、オウインはロショクと話していたので気がつかなかったが、ロショクはその奇妙な空気を感じていた。

酒はこぼれリュウビの服は酒まみれになった。

「こりゃ!チョウセン!何をしているか!!」

「申し訳ありません、只今、拭き物と着替えを用意してまいります」

そう言うとチョウセンは奥へ消えていった。

「すみませんね、リュウビ殿。不束者ゆえ・・・」

「いえ・・・大丈夫です」

と、リュウビの顔は真っ赤になっていた。


そこへ戻ってきたのはチョウセンではなく、別の女だった。

そして、ロショク達に気が付かれないようにリュウビの耳元でささやいた。

「あっは~ん」


ごめんなさいwww


「リュウビ様、オウヒツ様が外でお待ちです」と伝えるとリュウビの服を拭き去っていった。


程なくして、リュウビが酔ったフリをして

「すいません、飲みすぎたようです。夜風にあたってきます」

といえば、オウインが

「おお、耳までまっ赤っ赤じゃ。歴戦の将も酒には弱いのだのう」

と大笑いしていた。

ロショクはこのくらいで酔う男では無いと違和感を感じたが、気にしないフリをした。


外へ出ると、先ほどの女性が物陰から現れた。

「私はオウヒツ様の侍女のキョウテイです。こちらへ」

案内されるままに着いて行くと、松の木の下にオウヒツがいた。

「オウヒツどの!」

「ゲントクさま!」

二人が手を取り合うとキョウテイは身を隠した。

「ずっとお待ちしておりました」

「おお、オウヒツどのも無事で何よりだった」

「あぁ・・夢のようでございます」

「私もだ・・・」

そう言うと、二人はラブズッキュンだった。

オウヒツは

「どうか、このまま私をお連れ下さい」

と言ったが、リュウビは苦しみながらも断った。

「それは出来ない。私は今は客分の身であり、オウイン殿とも会ったばかり。

いきなりアナタをさらったとあっては笑いものになるでしょう」

「じゃあどうすれば・・・」

オウヒツは泣き出した。

「オウヒツどの、私はもう迷いはしない。今は除州で食客の身だが必ず身を立て

そなたを迎えに来る。必ずだ。だからどうかそれまで辛抱してくれ」

「はい。待ちます。何年でも。何十年でも!」

「ロミオ・・・」

「ジュリエット・・・」





そうして抱き合っていた二人だが、屋敷から誰かが出てくる音がすると

オウヒツは袖を返して闇に消えていった。


リュウビは酔ったフリをしながら明るみに出た。

そこにはオウインとロショクがいて

「なんだ、リュウビ殿は、ますますまっ赤っ赤じゃ。

まるで駆け落ちでもする猫のようじゃの。わっはっは」

リュウビは何も言えずにいた。ロショクは見たわけではないが、事態を把握しつつあった。


そうしてロショクの屋敷に戻る事となった。

「オウイン殿は本当に酒に弱いわ。参った参った」

「・・・はぁ」

「・・・今日はゲントクも相当に酔ったようだの」

「・・はい、恥ずかしい限りでございます」

ロショクはそれ以上は何も言わなかった。


翌朝、ロショクはリュウビと共に除州へ行くという。

トウタクの政治にさすがに付き合いきれなくなり、都を離れるという。

むしろ除州の太守トウケンからのお願いでもあった。


オウインは身辺の整理があり、10日程遅れて同じく除州へ来るとの事であった。

リュウビの心は躍った。これからは毎日のようにオウヒツに会えるのだ。


だが逸る心とは裏腹にロショクとの旅は難航した。

年が年なので馬を御す早さが遅いのだ。

出発してから5日も経ったというのにまだ半分も進んでいなかったのだ。


しかしリュウビにはそんな事はどうでも良かった。むしろもっと遅くなれば一緒に

除州へ帰れるのだから。

ロショクはリュウビのにやけた面を微笑ましく見守っていた。

一時間置きに休憩をしながらの旅だった。


そんな休憩に選んだお茶屋で変な歌を歌う旅人がいた。

聞き取ろうとしてもどうやら普通の文章では無く、二人は気にする風でも無かった。


そこで、ロショクは堪えきれずにリュウビにチョウセンの・・・オウヒツについての疑問を

ぶつけた。

「お主、チョウセンを知っていたのか?」

最初はごまかそうとしたが、ロショクが相手ではごまかしきれるハズも無く、リュウビは

正直に打ち明けた。


「・・・ふむ。いずれ迎えにのう・・・」

「はい、必ずや身を立て、オウイン殿に許しをもらって迎えたいと思っています」

「・・・ふむ」

ロショクはやがて目を見開き、

「であればリュウビよ。長安へ戻るぞ!かっさらってこい!」

と言った。リュウビはそれを断った。

「それでは義が経ちません。身を立ててからでないと・・・」

それを遮りロショクが言う。

「馬鹿者!義だ義だ言ってる内には立身など出来ぬわ!」

「しかし・・・」

「オウイン殿ならワシから説得する。反対しようはずも無い」

「ですが・・・」

「くどいぞリュウビ!義には、大小がある。小義に拘ってる内は何も出来ずに朽ち果てるぞ!」

もうリュウビには返す言葉が無かった。

「はい、ありがとうございます」

「うむ。よいよい」

そう言うと、リュウビは落ち着きを取り戻した。


程なくして、会話に困った二人は、ずっと聞こえていた暗号のような歌に耳を傾けた。

聞き取れる歌を文字に置き換えてみようとする二人。

「何かの文のようだの」

「はい、そのように思います」

二人は旅人の顔を覗いてみようとするが、深く笠を被っている為、顔は見えなかった」

「重・・ヒ・十・・草・・日・・・この日付は明後日か・・・」


そして全ての文章が見えた頃、二人は愕然とした。

そしてその旅人を振り返ると、すぐさっきまで歌っていたはずなのに、銭だけが卓に置いてあるだけだった。

「何者か・・・」

「妖術の類でしょうか・・・」

「しかし、リュウビよ、こうしてはおれん!」

「はい!」


急ぎ店を出た二人は馬にまたがり長安を目指した。


繋ぎ合わせた文とは・・・
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